最終更新日 2024年4月15日
リフォームとリノベーションの違いは厳密に定義されていません。
しかし普段この2つの言葉を使う人の間では、区別がされています。
前者は古くなった建築物を新築の状態に近づける行為を差します。
賃貸アパートの原状回復に似た意味合いです。
汚れた壁紙を新しいものに替えたり、古くなった流し台を新品に取り替えたりすることを指します。
後者は大規模な工事をすることで、新築よりも意匠や使い勝手を向上させることを言います。
英単語の意味どおりに修復だけでなく、刷新するニュアンスが含まれます。
新築時よりも現代の生活に適した間取りにしたり、くつろいだ気分になれるデザインにしたりするのです。
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後藤悟志氏から見たリノベーションのメリットとデメリット
メリットは新築よりも安く理想の住まいが手に入ることです。
さらに多くの中古住宅がターゲットになるため、物件の選択肢が増えることです。
後藤悟志曰く、都会であれば理想の土地を見つけるのに時間がかかりますが、中古住宅であればすぐに候補が見つかるのでスピード感があります。
デメリットは築年数が経っているため、耐久性が低下していることです。
新築よりも基礎や構造が少なからずダメージを受けていることは否定できません。
そして工事が長くなることがあり、入居までに時間がかかります。
建売の一戸建てであればすぐに入れますが、中古住宅に手を入れればそのぶん待たなければなりません。
さらに住宅ローンの金利が高くなる傾向があります。
なぜなら改修費用は一般の住宅ローンが使えません。
少々割高なリフォームローンを利用するので高くなるのです。
リノベーションに適している一戸建て住宅とは
一戸建て住宅にはリノベーションに適しているものとそうでないものがあります。
ポイントを把握して物件探しをしなければ時間がかかりますし、失敗すれば理想の住まいは手に入りません。
構造
1つめのポイントは構造です。
もっとも適しているのは木造軸組工法いわゆる在来工法です。
木の柱と梁を組みあせて全体を支える構造です。
木造だとツーバイフォーもありますが、木製のパネルを組み合わせるため、間取りの変更が難しく融通が利きません。
鉄筋コンクリート造や鉄骨造も建築後に構造を変更するのが難しく、大きな変更はできないと考えるのが普通です。
在来工法ならば強度を落とすことなく2部屋を1部屋にしたり、1階に土間を造ったりすることができます。
自由度が高い構造のほうがアイデアも出てくるため、在来工法を中心に探すのがおすすめです。
築年数
2つめのポイントは築年数です。
古い物件のほうが強度に不安があることは当然です。
しかし建築基準法改正の前後で、新築時の耐震性に差があることは把握しなければなりません。
大きな改正があったのは1981年であり、その前に建てられた木造建築物の耐震性は不安があります。
ですから物件探しの段階で、1981年より前に建てられた住宅を除外するほうがいいかもしれません。
デザインや住みやすさ向上を目的とした工事だけでなく、耐震性能を改善する工事が必要になるおそれがあります。
築40年以上経っていれば安いですが、リノベーションに適しているかと問われれば疑問符が付きます。
実は1981年の新基準では、耐震性能だけでなく断熱性能も厳しくなりました。
築40年以上の木造住宅は光熱費がかさむリスクがあるということです。
外壁や基礎の劣化
3つめのポイントは外壁や基礎の劣化です。
購入前に、専門家に依頼して点検をしてもらうことは可能です。
しかし素人でも目視だけでNG物件を見破ることが可能です。
もっとも簡単なヒントはひび割れです。
コンクリートの基礎や外壁は劣化するとひび割れを起こすことが多く、ひと目で確認することが可能です。
外壁などは古くなれば小さなひび割れが出るのは当然ですが、基礎に大きなヒビが見られれば大問題です。
構造を支える能力がなく、全体の歪みや地盤沈下のリスクが高いです。
築浅にも関わらず基礎に大きなひび割れが見られれば、欠陥住宅とも考えられます。
その気になれば誰でもできますから、面倒臭がらずにチェックするといいでしょう。
ドアや窓の建て付け
4つめのポイントはドアや窓の建て付けです。
構造に問題が潜んでいる住宅はドアや窓の開閉がスムーズにいきません。
歪みが大きい部分ほど渋さが顕著になりますから、すべてのドアと窓を確認するが得策です。
不具合を指摘すると不動産屋は、戸車の劣化や潤滑油の不足を理由に挙げることが少なくありません。
確かにそれが原因のこともありますが、建物の歪みを隠しているケースが多いため、原因の追求を怠ってはいけません。
ドアや窓はリノベーションで変えることができますが、根本的な構造の問題は解決が難しいです。
中途半端な工事ではすぐに戻ってしまいます。
構造に問題がある物件は、それを見抜いて除外する必要があります。
リノベーション工事のしやすさ
5つめのポイントはリノベーション工事のしやすさです。
床の段差解消や手すりの設置など、特にバリアフリー関係に影響が大きいです。
廊下が極端に狭かったり、階段が異常に急な物件はリノベーションでも解決できないことがあります。
トイレやお風呂の位置を変えるのもコストがかかりますから、すでに気に入ったところに配置されいる物件にするのが賢明です。