最終更新日 2024年4月15日
日本では少子高齢化が進み、働く人の割合が減っているため、様々な立場の人が働きやすくなるような環境作りが大切になっていきます。
このために施行されるのが、働き方改革関連法です。
働き方改革関連法とは
働き方改革関連法は、長年問題になってきた長時間労働の是正や様々な働き方を可能になるために施行されますが、「関連法」と記載されているように、いくつもの関連した法案を一斉に改正する必要がありました。
具体的には、労働基準法・労働安全衛生法・労働時間等の設定の改善に関する特別措置法・じん肺法が関係します。
さらに、雇用対策法・労働契約法・短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律・労働者派遣事業の適正な運用の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の合計8つの法律の改正が行われます。
参考URL:https://kigyobengo.com/media/useful/1139.html
働く人たちにもたらされる変化とは
ではこのことで働く人たちにはどんな変化が期待できるのでしょうか。
まずは、時間外労働の上限が設けられるため、長時間労働に歯止めがかけられるようになります。
具体的には、一か月の時間外労働の上限は45時間で、かつ年間で360時間までとなります。
さらには、この上限に違反した会社や労務の担当者には罰則規定が設けられていることで、緩やかな努力義務ではなくなった点は評価できます。
これに加えて、勤務間インターバル制度ができたことで、勤務終了時間から翌日の勤務開始時間には一定の時間が設けられることになりました。
また、有給休暇取得が義務化され、年に10日以上の有給休暇がある労働者は、5日以上の取得が義務付けられます。
これらのことで、労働者の生活の質が向上することが期待できます。
不公平の是正
変化が期待できる別の点は、不公平の是正です。
働き方改革関連法では、同一労働同一賃金が推進されます。
つまり、労働形態に関わらず、同じ内容の仕事をしていれば、同程度の賃金が支払われるようになります。
そして、合理的な理由がない限り、賃金や待遇の格差を設けてはならないことになっています。
そのことで、事情があって非正規の仕事を選ばざるを得ない人や短時間しか働けない人でも、労働形態や労働時間のハンデを感じることなく賃金が支払われることを期待できます。
高度プロフェッショナル制度が創設
また、一定以上の高収入で専門職として働く人は、労働時間ではなく仕事の成果で報酬が支払われる、高度プロフェッショナル制度が創設されます。
仕事の能力が高い人には有利な制度ですが、残業代や休日出勤などの概念が考慮されないため、高度プロフェッショナル制度の対象となる人の労働環境や人間らしい生活の確保が課題となっているようです。
また、働き方改革関連法で強化されたのは、産業医の制度や産業保険機能の面です。
長時間労働などによる身体面・精神面でのケアが必要なケースが増えてきたためで、企業は産業医に対して、従業員の労働時間などの情報の提出が義務付けられました。
そして、長時間労働者と産業医との面談につなげる法改正に至ったことで、労働者の健康を守る制度が拡充されることになりました。
まとめ
働き方改革関連法は、8つの法案の改正が必要となりましたが、法案により開始時期が異なっています。
法案によっては全企業が一斉に取り組みを開始しなければならないものと、大企業と中小企業では開始時期が異なっているものがあります。
特に時間的な要素や金額的な面が関係している法案に関しては、中小企業が無理なく法案の施行できるよう、開始時期を遅くすることで準備期間を設けているようです。
法案施行の開始が遅くなるからと言って、現時点で何もしないと言うことは得策ではありません。
自社が大企業・中小企業のどちらに当てはまるのかを把握し、施行開始に向けた計画を立て、社内の規定の改正や制度を運用するうえでの必要な整備を行っていくことが大切になってきます。